アンナム

ンナム(アンナン、安南、Annam)は、ベトナム北部で産出される紅茶です。
アンナムとは現在のベトナム中部から北部一帯を表す、古くからの呼称です。
主な産地はハノイより北の、イエンバイ省、ハーザン省、タイグェン省で、このうちイエンバイ省が最も良質な茶葉を産出します。
この地域では紅茶の他、緑茶の生産量も多く、半発酵茶である烏龍茶なども作られています。
イエンバイ茶、タイグェン茶と独立した名称で出荷されることもあります。

トナムの茶栽培は元々は緑茶で、1000年の歴史があると言われており、独自の茶の作法もありますが、現在のベトナムはコーヒーの産出量の方が遙かに多く、どちらかといえばコーヒー文化圏です。また、蓮茶、苦瓜茶、蕺茶(ドクダミ)、菊花茶、玖瑰茶、茉莉花茶、鬱金茶、檳榔茶など、茶外茶も豊富です。
紅茶の大規模な商業栽培(プランテーション)が開始されたのは、1800年代初頭のフランス人資本によるもので、当初は生産された紅茶のほぼ全てがロシアへ輸出され、ロシアンティーとして飲まれていました。その後、戦争を経て茶栽培は一時衰退。

しかし、近年、ベトナム政府は茶の増産計画を推進しており、最近はイエンバイやベトナム南部ザライ省プレイク地域を中心に台湾の技術を導入して、良質な茶葉が産出されるようになりました。特にプレイクでは金萱種や翠玉種など台湾で品種改良された茶樹が移植され、台湾方式の烏龍茶生産が行われています。

ベトナム北部で生産される紅茶は中国種の茶樹からつくられ、比較的小振りの葉が特徴です。
樹齢は200~300年と古いものが多く、お茶の品質も頭打ちになっていましたが、近年は台湾の茶栽培や製茶技術が導入されたこともあり、品質は飛躍的に向上しています。

葉はフルリーフタイプが中心。
水色は濃いですが、サッパリとした飲み口で軽めのテイストです。
際だった特徴はありませんが、ミルクティーやアレンジティーにも向いた紅茶です。
現地では、紅茶の他、緑茶や茶外茶に果物や蜂蜜などを入れて飲まれます。