アルボルズ

ルボルズ(エルブーズ、Alburz)は、イラン北部マーザンダラーン州、及びギーラーン州のアルボルズ山脈北側のカスピ海沿岸で産出される紅茶です。
この地域はイラン国内では貴重な森林地帯になっており、農業が盛んな地域になっています。

ランの紅茶は「ペルシャ茶」や「カスピ茶」として出荷されることもありますが、ほとんどが国内消費されていることもあり、日本ではなかなか手に入れることができない稀少な紅茶の一つです。
また、イランは紅茶輸入国でもあり、主にインドのアッサムや、スリランカのロウグロウンティー(低地産の紅茶)を多く輸入しています。このことから、イラン国内でそれらの紅茶を包装、製品化したものを「ペルシャ茶」や「イラン紅茶」として土産物店などで売られている事も多く、また日本国内にも輸入されているため、中身が必ずしもイラン産紅茶ではないことに注意が必要です。

の地で紅茶栽培が始められたのは1900年頃と、比較的新しい産地ですが、イランは紅茶文化圏で昔から紅茶が親しまれています。
一般的な飲み方は、サモワール(やかん)で煮出した紅茶を、透明の小さなグラスに注いで飲む「チャイ」で、ミルクなどは入れずストレートで飲まれます。
濃くなったものはお湯で薄めます。また、口に角砂糖を含んで少しずつ溶かしながら飲んだり、直接グラスに砂糖を加えて甘くして飲むのが一般的です。
この時に使われる角砂糖は日本でよく見られる角砂糖ではなく、石のように堅く溶けにくい「ガンド」と呼ばれるもので、日本の角砂糖ではこのような飲み方は真似できません。
他にも、ミントの葉を浮かべたり、天然のバラと砂糖で作ったシロップを入れたバラのフレーバーティーとして飲まれることもあります。

規模の小さな農家が多く、大規模なプランテーションはありません。
茶葉はフルリーフタイプとブロークンタイプが生産されており、どちらも独特の甘く芳醇な風味が特徴ですが、より味わい深く風味が良いのはブロークンタイプです。煮出しても渋みが出にくく、この点は近隣のグルジアやアゼルバイジャン産紅茶や、トルコのリゼ産紅茶にも共通しています。