レジストロ

ジストロ(Registro)はブラジル南部サンパウロ州レジストロ市郊外で生産される紅茶です。
圧倒的にコーヒー生産・消費国のブラジルですが、紅茶と緑茶の生産もごく少量続けられています。ブラジルに於ける主な生産地はレジストロ(紅茶)、ベルチオガ周辺でごく少量(紅茶)、クリティバ(緑茶)の3ヶ所。しかし、国内消費がほとんどないことから品種改良が進まず、生産量は年々減少を続けており、将来的には消滅することが心配されています。

ラジルに於ける紅茶栽培が最初に始まったのは、1920年頃の日本人入植者・岡本寅蔵氏によるもので、当初は日本から持ち込んだヤブキタ種や、香港(或いはマカオ)から持ち込んだ中国種の茶樹を用いた実験栽培が始められました。しかし紅茶に向かない品種だったため、紅茶の商業生産は行われませんでしたが、緑茶は少量が生産され、主に日本人入植者向けに供されました。

その後、1935年頃、当時のイギリス領セイロン(スリランカ)から持ち込んだ数十粒の茶の種を発芽させ、1950年頃には比較的大規模に商業生産が始められました。この時に持ち込まれた茶樹は、イギリス人によってインドからセイロンへ持ち込まれたアッサム種と中国種が野生に帰化し、自然交配した雑種と言われています。

当時はレジストロで紅茶と緑茶の両方が生産されていましたが、1975年頃に緑茶生産は南部クリティバに日本企業(山本山と丸紅の合弁)による資本でヤブキタ種による茶園が作られ、そちらに移りました。現在、レジストロで生産されるお茶は紅茶のみで、緑茶は作られていません。

質は総じて低く、品種改良や新しい茶樹への更新も殆ど行われていません。紅茶は細かなブロークンで生産され、緑茶も含めて大半が米国へと輸出されます。紅茶は工業用(リキッドタイプの濃縮紅茶や紅茶シロップ生産用)やティーバッグのブレンド用(ほとんどがフレーバーティー)として使われ、単体銘柄として出回る事は殆どありません。緑茶は米国内の寿司店等で供されたり、ティーバッグや工業用へと回されます。

クォリティーシーズンと言われているのは、11月~3月中旬までのあいだ。
人件費や物価等の高騰により、スリランカ産やアフリカ産紅茶との価格競争にも晒されており、競争力が益々低下する傾向があります。