台茶8号
台茶8号(たいちゃ8ごう)は台湾全土で生産される紅茶専用品種の1つです。
日本統治時代の1930~1940年頃、日本人農業技師”新井耕吉郎”(日東紅茶の前身である三井紅茶の祖)が、インド北西部のアッサム種の茶樹を台湾に移植し、台湾紅茶試験支所(1936年設立)に於いて品種改良を進めた品種です。台茶8号としての認定は1973年。
現在の台湾に於いても紅茶として最も広く飲まれている紅茶品種の1つです。
台茶8号という名称で販売される事は稀で、多くは阿薩姆紅茶(あっさむ-)や、生産されている地名をとって日月潭紅茶、鶴岡紅茶と呼ばれることがほとんどです。日本でも”台湾産アッサム紅茶”として売られている事があり、その場合はこの台茶8号、或いは台茶7号などの阿薩姆系品種から産出された茶葉です。
インドのアッサム茶とは異なるほのかな薫香がし、全体的に平坦な風味で大きな特徴はありません。茶樹の老齢化や品種としての陳腐化により、台茶18号”紅玉”や蜜香紅茶などの新しい紅茶に味、品質共に劣り、台湾国内での紅茶としての地位は「安価で低品質」の代名詞にもなっています。このため、より商品価値の高い台茶18号”紅玉”などへの転作が進んでおり、台茶8号の生産量は年々減少傾向にあります。
しかしながら、濃厚でミルクにも負けない力強さがあることから、台湾の街にどこにでもみられるティースタンドではミルクティーやアイスティー、タピオカミルクティーなど数多くのアレンジティーとして販売され、台湾国民に広く親しまれています。かつて一大産地だった台湾東部では、現在も街の食堂に行くと必ず甘くした阿薩姆紅茶が置かれている地域があり、一品注文すると甘い紅茶が1杯ついてくるなど水代わりに飲まれており、市場価値は低下したとはいえ生活に広く浸透したなくてはならないお茶でもあります。また加工用として台湾でよく見られる茶葉蛋にも使われています。
安価で手に入りやすいことから台茶8号や台茶7号を、台茶18号”紅玉”や蜜香紅茶と偽って販売する国内外の業者も少なからず存在していますので、注意が必要です。
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