蜜香烏龍(貴妃茶)

香烏龍(みっこううーろん)は南投県凍頂山周辺の海抜700m付近で生産される青茶、烏龍茶の1つです。
2000年代後半に「貴妃茶」(きひ-)という商品名がつけられました。使われる品種は青心烏龍種。

のお茶ができたのは比較的最近のことで、921大地震(1999年9月21日台湾南投県を震源に発生した大地震)のあとです。
この地震では茶処の南投県で大きな被害をもたらし、ちょうど冬茶の茶摘みを控えていた茶農家は茶摘みを行うことができませんでした。管理されなくなった茶畑では害虫のウンカが大量に発生し、凍頂烏龍茶の生産は絶望的になりました。

害虫被害に遭っても次の生産に繋げるためには茶摘みをしないわけにはいかず、害虫の被害に遭った茶葉を試しに製茶したところ、これまでの凍頂烏龍茶にはない高貴な香りが得られたことから、それ以降、毎年作られるようになった災害が産んだ偶然のお茶です。このウンカは東方美人や蜜香紅茶の生産にも用いられる害虫の一種。

1芯3葉で摘まれた茶葉を25%前後発酵。
青く若々しい風味の凍頂烏龍茶と違い、香気を際立たせるため重焙煎で仕上げて香ばしく芳醇なお茶に仕上げるのが特徴です。

なお、玖瑰(バラ)の花びらやつぼみをブレンドした花茶(フレーバー茶)を、高貴なイメージから貴妃茶あるいは貴妃烏龍という商品名で販売されていることがありますが、全く別物のお茶です。

蜜香烏龍 陳3年熟茶の茶葉。鮮やかな緑色が特徴の凍頂烏龍茶と違い、比較的茶色い色をしている。
貴妃茶

上記の茶殻。葉の形は綺麗に残り、また葉の縁が褐色に変化して、じっくり発酵されているのがよくわかる。
貴妃茶茶殻