ラペ
ラペ(Lahpet)はミャンマー東部シャン州のタイヤイ族(シャン族)居住地域、およびコーカン自治区内のうちコーカン族居住地域で、ごく少量生産されるお茶です。シャン族はタイ系諸族、コーカン族は17世紀頃に中国雲南省より渡ってきた漢族系民族です。
この地域の茶文化は12世紀まで遡り、中国雲南省の部族から渡ってきた茶の種子を植えたことから始まります。(諸説あり)
現在でも樹齢850年を超える茶の老木が残されています。
元々は緑茶生産が主流でしたが、イギリス人が植民地化した頃から紅茶とケシの栽培が盛んになり、紅茶文化が生まれました。
現在、かつてのケシ畑は茶や他の作物に転作がされましたが、現在でもミャンマー政府に対する反政府組織が実効支配する地域(雲南省隣接地域など)では、ケシの栽培が続けられているようです。
この地域での茶の樹木栽培は、基本的に種から育てるのが基本となっており、焼畑等で開墾したあとに種を蒔き、茶樹が3mほどに成長した6~7年後から収穫が始められます。茶摘みは基本的に一芯一葉で柔らかな芯芽のみを収穫し、それらは釜蒸ししたあとに天日乾燥させて緑茶に仕上げられます。(ごく一部では黄茶に仕上げられることもある)
この緑茶は「ラペチョウ」と呼ばれ、非常に高価な高級茶として、市場に出荷されたり、特別な儀式などでも使われています。
一芯一葉で摘まれたあとに残った2枚目、3枚目の葉は、後発酵茶の「ラペソー」(発酵させたお茶の漬け物)として加工され、ミャンマー全土で郷土食として、ミャンマー料理には欠かせない一品として、広く食べられています。
更に下部にある堅い葉や、ラペソーの製造段階で品質の良くないもの(保存中にカビが生えてしまったもの等)は、「ラペチンチャウ」と呼ばれる後発酵茶に仕上げられ、お茶として飲用されます。ラペチンチャウは散茶のほか、餅茶のように固められて保存されます。
また、堅い葉や枝を釜炒りし、日本の焙じ茶のように焙煎したものが庶民のお茶として広く親しまれています。
この他に、ごく少量ながら紅茶も作られており、こちらは砂糖を大量にいれた甘い物がこのまれます。
シャン族などではお茶は各家庭内で作るのが今でも基本になっています。