台茶12号”金萱”

茶12号”金萱”(きんせん)は、台湾全土で大規模に栽培される茶品種の1つです。
硬枝紅心種と台農8号を掛け合わせて品種改良を進めた品種で、台茶12号「金萱」としての認定は1981年。
12番目に開発されたこの品種から通称名もつけられるようになり、茶樹の品種名でありながら、単独の商品名としても広く認知されています。
台茶12号よりも通称名の金萱茶の方が有名で、ご存じの方も多いと思います。

種の大きな特徴は、病害虫や干魃に強く、痩せた土地でも比較的よく育ち、面積当たりの収穫量が多いことで、この特徴から台湾全土に急速に広がりました。現在、烏龍茶生産では青心烏龍種に次いでトップシェアの地位を確保しており、今後も増加傾向にあります。ほとんどは烏龍茶になりますが紅茶も生産されており、ウンカの食害を利用して蜜香紅茶として出荷されるものもあります。

龍茶の金萱といえば乳香(ミルクの香り)で有名になりましたが、「まるでミルクを想像させる、まろやかで芳醇な風味」という意味で、実際にミルクの香りがするわけではありません。
しかし、その例えが誇張して取り上げられ台湾国内や日本でブームになると、ミルク香料やバニラ香料を加えて人工的に香り付けした粗悪品や、ベトナム産茶葉を使った偽物が流通し、大量に出回るようになりました。問題は着香茶であることを明示せずに売っていることで、強い着香が施されたお茶を多くの消費者は茶葉そのものの香りだと誤解し、結果として金萱のブランド力の低下を招くことになってしまいました。

一時期はわざとらしいほどに強い着香がされたものが多くありましたが、それらは現在は減少傾向にあります。しかしながら、着香技術の向上により”ほのかなミルク香”をつけた着香茶も依然として多く流通しているのが現状で、一般消費者には飲んでも見分けがつかないほど巧妙になっています。

阿里山金萱茶(極品)
阿里山金萱茶_500px

金萱種から作った蜜香紅茶(鹿野郷高台)
高台蜜香紅茶_金萱_500px

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