天鶴紅茶

鶴紅茶(あまづる-)は、花連県瑞穂郷舞鶴村原産の全発酵茶、紅茶。
“舞鶴紅茶”や”瑞穂紅茶”と呼ばれることもあるが、舞鶴茶区産は特に「天鶴茶」「天鶴紅茶」のブランド名で統一している。
瑞穂紅茶の名称は隣の鶴岡紅茶との区別が曖昧なことがあるので注意が必要。

種は主に大葉烏龍種、青心烏龍種、金萱種が使われる。
台湾を代表する紅茶ブランド「蜜香紅茶」の発祥の地であり、現在も最も高品質な紅茶を産する産地の1つ。
天鶴紅茶といえば通常は大葉種の蜜香紅茶を指しますが、このほかに2013年から初めて出荷が開始された柚香紅茶、不発酵茶の蜜香緑茶などもあり、現在も品種改良や新商品の開発が積極的に行われています。

1930年代、台湾原住民族であるアミ族と日本人農業技師「新井耕吉郎氏」により栽培が推進され、隣接する鶴岡地区を中心に紅茶産業が発展しました。日本統治時代は茶よりコーヒー栽培が盛んでしたが次第に衰退し、1980年代から本格的に茶の生産に注力、新品種の導入などを積極的に進めました。鶴岡紅茶として出荷された時期もありましたが、蜜香紅茶の開発に成功してからは独立した産地として出荷され、密香紅茶といえば通常、瑞穂郷舞鶴産のお茶を指します。
現在では茶産業が衰退した鶴岡村に替わって、アミ族の末裔である東立茶行、嘉茗茶園、東昇茶業の3茶園が中心となって良質な茶葉が積極的に生産されており、2000年代には茶コンテストで金賞を受賞するなど、国内外の数々の賞にも選ばれています。現在も茶生産の傍らコーヒー生産も続けられており(主に東昇茶業)、貴重な台湾珈琲の生産地でもあります。

鶴台地の中心標高は海抜150m~300m付近と低地ですが、茶畑は周囲の山に沿って1150m付近まで点在しています。
1980年代になって花蓮県政府が無農薬有機農法での茶の栽培を推進したところ、茶樹に大量の害虫(ウンカ)が発生し、試しにそれを製茶したところ、濃厚で芳醇な蜜の香りのする紅茶ができたのが始まりとされています。いわゆる副産物として生まれたお茶で、同じウンカの食害を利用して作られる東方美人と同様です。茶摘みは手摘みが中心ですが、一部では機械摘みが行われています。茶摘みは午後の涼しくなった時間から日没にかけて行われることが多く、短時間のうちに一斉に茶摘みが行われます。

この地は多くの茶農家が民宿を兼業するという、珍しい地域になっています。
民宿で供されるお茶は、その民宿が所有する茶園から産出されたもので、民宿によってお茶の味も風味も異なります。
製茶した茶師と身近に会話できる環境にあるのも、この地の特徴ともいえます。(しかし普通中国語が通じない場合がある)
なお、宿泊せずにお茶だけを購入することも可能です。

大葉烏龍種の天鶴蜜香紅茶。金芯(いわゆるゴールデンティップ)をたくさん含む。
蜜香紅茶天鶴